経営者であれば誰もが提案に適しているというわけではない。まずはどんな経営者がアプローチの対象となるか確認しよう。
金融機関が経営者個人にアプローチするには、経営者本人がある程度の資産を持ち、本人および会社の取引履歴に問題がないことが望ましい。事前に確認すべき条件を会社と個人に分け、確認する手段を整理しよう。
【会社の情報】
①現預金の金額
アプローチする経営者の会社を見る際は、業績の良し悪しを確認するのが基本だ。簡単で確実な方法が、現預金の多寡を確認すること。決算書の勘定科目明細でどの金融機関にいくらあるかを確認し、直近の試算表で全体の残高も確認するとよい。
業績が良好な会社は、平時では現預金が月商の3倍程度、コロナ禍のような有事では同じく5倍程度を1つの目安と見ればよいだろう。
②債務の状況
債務は単純に量ではなく質を見極めよう。会社は無借金が良いと見られがちだが、成長するには借入れによるレバレッジを効かせることも必要だからだ。金融機関としても、借入れを通じた良好な付き合いが続く会社の経営者のほうがアプローチしやすい。
債務の状況は決算書と勘定科目明細で確認できるが、自行庫が融資の過程で金融機関の借入金明細表を入手していたらそれで確認しよう。
債務の水準は、(借入金・社債−現預金)÷(営業利益+減価償却費)で算出されるEBITDA有利子負債倍率が10倍以内なら適正範囲内といえる。決算書の数値から計算してみよう。
③役員借入金・貸付金の有無
どちらも決算書と勘定科目明細で確認できる。
会社が役員(経営者)から借りた役員借入金は、創業期から返済されないまま長年にわたり資産計上されていることも多い。会社に融資して役員借入金を経営者に返済する提案ができる場合もある。経営者に戻った資金の運用を提案することも可能だろう。ただし、優越的地位の濫用にならないように注意が必要だ。
企業から役員に貸す役員貸付金が多額な場合は、リスクが高い。筆者の経験では、役員貸付金の増加要因を突き詰めたところ、経営者が金の先物取引に投じて大きな損失を出していたことがあった。こうした経営者は資産運用のアプローチには適さない。
④過去の取引の内容
過去に融資や保険の取引実績がある会社は、信用状態が良好で経営者にアプローチしやすい傾向がある。一方で過去にトラブルがあれば、今後の取引でもトラブルが起こる可能性が高いだろう。
個人で持つ金融商品や不動産も確認する
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