「銀行にお金を預けても全くお金が増えない!」こんな風に感じている人も多いことでしょう。しかし預金金利が低いのは銀行がケチだからではなく、国の経済がどのような状況であるかによって決まります。今回は金利がどのように決められていくのかをご紹介したいと思います。
どうして銀行の普通預金金利が0.001%なのか
預金金利や国債金利はどのくらい?
現在大手銀行の普通預金金利は0.001%であり、30年前に2%程度あったことを考えると、がっかりするほど低いのが分かります。「これならお金を預けていても全く意味が無いのではないか」と思ってしまいそうですが、とはいえ現金をすべてタンス預金にしておくのもリスクがありますよね。
普通預金よりもう少し多くかつ安全な方法で金利をもらいたいという場合、個人向け国債を検討してみる人もいるでしょう。現在の個人向け国債の金利は0.05%。元本保証といって、投資した金額は全て戻ってくることが国によって保障されていますので、安全かつ普通預金よりより高い金利を得ることができます。
現在、個人に限らず企業なども購入することができる一般的な国債の10年金利は0.011%(2020年3月29日現在)。つまり10年間日本にお金を貸しても、1年ごとにもらえる金利は0.011%しかないということです。一方で現在コロナウィルスが猛威をふるっているイタリアの10年の国債金利は2.4%(2020年3月17日)。日本にお金を貸しても全然もうからない……しかし、これには理由があるのです。
金利が低いとお金が借りやすくなる
普通預金にお金を預ければ、いくら安いとはいえ金利としてお金をもらうことができます。これは銀行にお金を貸してあげているからです。銀行は、皆さんから「預金」という形で借りたお金を使って、お金儲けをします。わかりやすい例が企業などへのお金の貸し出し(融資)です。
皆さんからお金を安く借りているため、それより少しでも高い金利でお金を貸し出せれば儲けが出ます。もし皆さんの預金金利が10%であれば、最低でも10%以上の金利で貸し出さなければなりませんが、現在のように0.01%で皆さんからお金を借りることができれば、0.01%以上の金利で貸し出せば儲けを出すことができるのです。
銀行は、企業や個人事業主などビジネスを行なう人々にお金を貸し出しており、借りた人は銀行から安い金利でお金を借りることで儲けを出しやすくなります。このように、金利には「貸す側」から見る金利と「借りる側」から見る金利二つの側面があり、貸し出す側が(少し不満を感じながらも)低い金利でお金を貸し出してあげることが、借りる側からすると大きなメリットとなるのです。
日本国債の金利は、2008年に起きたリーマンショックによって資金繰りが苦しくなる企業が続出したことから徐々に下落。政府は該当企業がお金を借りやすくするために、銀行が貸し出す金利を下げるような政策を取り続けてきました。「預金しないでもっとお金を使ってほしい!」というそれまでの政府の考えとも一致して、預金金利低下のさらなる低金利化がすすんだのです。前述した政策を「金融緩和政策」といいます。
お金を返せなさそうな人からは金利を多くもらうのが金融の基本
現在、新型コロナウィルスにより経済的にも大きな打撃を受けているイタリア。そもそも国の借金がGDP(国内総生産のことで、国の生産性を表すためその国の経済力としてよく利用される数字)対比で130%にものぼります。つまり、借金の方がその国が生み出している価値よりも大きいのです。このような国に進んで多くのお金を貸したいと思う人はあまりいないでしょう。
たとえば、友人がやってきて新しいビジネスを始めるからお金を貸してほしいと頼み込んできたとイメージしてください。相手はお金を貸してくれたら、借りた金額の5%を月々の金利として支払い、3年後には借りた全額を返すと言っています。
友人がとても優秀な人で過去にも様々なことを成功させてきた実績がある人だったら、「この人ならきっとビジネスを成功させることができるだろう」と喜んでお金を貸してあげるはず。一方で相手が過去にも事業に失敗してすでに借金を抱えている状態だったなら、お金が帰ってこないことを想定してそもそもお金を貸さないか、あるいは5%以上の金利を要求するかもしれません。
このように、お金を貸す際に戻ってこないかもしれない可能性が金利に反映されます。お金を返してくれなそうな人であればあるほど、金利が高く設定され、お金が借りにくくなっていくのです。
日本の国債金利が上昇してきたら注意
現在、日本では国の政策により低金利が続いていますが、もし日本の国債を買う人がいなくなれば、上記のイタリアのように金利が上昇してくるでしょう。そうなったときは、なぜ金利が上がっているのかを正確にとらえる能力が必要です。
「信頼がある人は低い金利でお金が借りられるはず」という原則を忘れずに、今後の金利の動きをチェックしていきましょう。
文/山根ゆずか
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April 21, 2020 at 09:03AM
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