◆目的を見失わない口座の管理は必須
ただし、注意が必要なのは、あくまでも「貯蓄口座」として使うと割り切れるか、ということ。
楽天銀行やSBI新生銀行、auじぶん銀行は証券口座と連携しているので、いざ投資をしたい、となれば、簡単に売買代金の決済ができます。これは使い勝手がいい半面、貯蓄と投資の資金を計画的に管理しないと、貯蓄しているつもりが、投資資金に回ってしまい、本来使うべき目的のお金まで投資に回してしまった、ということになりかねません。
また、イオン銀行の場合、クレジットカードの利用額や投資商品の残高などによってステージが変わり、優遇内容が変わります。生活口座と分けたはずが、貯蓄口座から必要以上にお金が出ていってしまっては意味がありません。
筆者がおすすめする使い方は、近い将来(1~3年以内)に使うお金を貯める口座として利用することです。旅行費用、冠婚葬祭、大型家電・家具の買い換え、車の買い換えなど、いわゆる「臨時出費・特別支出」といわれるものです。こうした出費は生活口座と分けておかないと、家計の大きな変動要因になり、貯蓄から取り崩すことになります。それを防ぐためには、別の口座を作ることがベストです。
定期預金にしてしまうと、取り崩す罪悪感を持ってしまいますが、しょせん普通預金です。いざというときの資金としても活用できるでしょう。その点でも、あおぞら銀行BANK口座の「BANK(TM)The Savings」は便利。BANK(TM)アプリを使うと、普通預金から貯蓄預金への振替ができ、貯蓄目標を最大20個まで作れるので、貯蓄預金を目的別の貯蓄口座として活用することができます。適用金利も普通預金と同じ0.20%です。
そうはいっても、銀行金利は、どんぐりの背比べ。100倍、200倍といっても、大差ないといえば大差ありません。10年預ければ100万円が200万円に増えるわけでもありません。
今の時代は、生活口座、特別支出用の口座、教育費や住宅購入の頭金づくりの口座、という具合に、「目的に合わせたお金の管理のため」に銀行を利用する、と考えたほうがいいでしょう。そのやり方は、一つではありません。銀行ごとのサービス内容、ATM手数料や振込み手数料の違いなどを理解し、自分のお金をどう管理するか考え、上手に銀行口座を組み合わせていくべきなのです。
文:伊藤 加奈子(メディアプロデューサー、ファイナンシャルプランナー)
マネー誌『あるじゃん』や住宅関連誌、ライフスタイル誌などの数多くの媒体を立ち上げたメディアプロデューサー。マネープランクリニックの執筆を担当し、実際の家計の取材に基づいた「お金の話」や「貯蓄の話」の発信を行う
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