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Saturday, May 11, 2024

マイナス金利解除後、私たちの生活にどのような影響があるのか - イオン銀行

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【この記事を読んでわかること】

  • マイナス金利が解除になった理由
  • マイナス金利が解除になったことによるプラスの影響
  • マイナス金利が解除になったことによるマイナスの影響
  • 金利と株、為替の関係

17年ぶりにマイナス金利が解除されました。今後は、「金利のない世界」から「金利のある世界」へと変わります。マイナス金利が解除になると私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか? 今回は、特に個人に影響がある事柄について解説します。

マイナス金利が解除になった理由は?

長らく続いたマイナス金利政策ですが、17年ぶりにマイナス金利が解除になりました。このタイミングで、なぜ、日銀はマイナス金利を解除したのでしょうか。

これまで日銀は、2%の物価上昇を目指していましたが、それは、毎年2%程度の物価上昇が続けば、景気も順調で、企業業績も良く、働く人のお給料も上がり、安定した経済状況が見込めると考えていたためです。

最近は、物価上昇率は、継続的に2%を超え、今年の春闘では、賃上げ率が33年ぶりの高水準となりました。

この状況から個人も企業もお金を使う、良い経済の流れができつつあり、今後も継続するだろうと判断して、マイナス金利の解除に踏み切ったというわけです。

マイナス金利解除後は、政策金利は、0.1%に引上げられました。

マイナス金利が解除されたことによるプラスの影響は?

マイナス金利が解除されたことによって、私たちの生活にはどのような影響がでるのでしょうか?金利が上がることでプラスの影響とマイナスの影響があります。では、プラスの影響から見ていきましょう。

預金金利・定預預金の金利が上がる
マイナス金利の解除を受けて、大手都市銀行や一部の銀行では、普通預金の金利を0.001%から20倍の0.02%に引上げています。
また、定期預金の金利も上昇傾向に。一部の銀行では、1カ月から2年定期で0.002%から0.025%に引上げるほか、3年以上の定期でも金利を引上げています。5年定期の場合、0.07%から0.2%に引上げている銀行もあります。

例えば、1年間100万円を0.02%の普通預金に預けると、税金を考慮しなければ、1年後の利息は200円ですが、0.1%の普通預金に預けると、1年後の利息は1,000円になります。今後は、今まで以上にどこにお金を預けると有利になるのか、敏感になった方が良さそうですね。

個人向け国債の金利が上がる
個人向け国債の金利も上昇傾向にあります。個人向け国債は、国が発行する債券を個人でも買いやすくした国債です。

個人向け国債には、金利が固定されるタイプと金利が変動するタイプがありますが、どちらの金利も上昇傾向にあります。現在、「固定3年」の金利は0.18%、「固定5年」の金利は0.36%、「変動10年」の金利は、0.5%となっています。

注目は、金利が半年ごとに見直される「変動10年」です。今後も市場金利が上昇すれば、変動10年の金利も市場金利に伴って上昇するからです。一方、固定金利タイプの商品は、金利の上昇がひと段落した段階で購入すると良いでしょう。急いで買ってしまうと、低い状態の金利を長期で固定することになってしまうからです。

生命保険の保険料が下がる
金利上昇により、安くなる可能性があるのが生命保険の保険料です。
生命保険会社は、生命保険の契約者から集めた生命保険料を積み立てておき、将来保険金を支払うために備えています。このお金を「責任準備金」と言います。責任準備金は、国が定めた標準利率に基づき保険会社ごとに「予定利率」を決めて積み立てています。

生命保険の予定利率は、保険会社が契約者に約束する運用利回りで、保険料は見込んだ収益分を割り引いて計算されます。ですから、予定利率が引上げられると、保険料が安くなる可能性があります。

実際に、昨年の後半あたりから大手生命保険会社を中心に個人年金や学資保険など一部の生命保険の予定利率が引上げ傾向にあり、保険料が安くなっています。

マイナス金利が解除されたことによるマイナスの影響は?

次にマイナスの影響を見てみましょう。

住宅ローン金利が上がる
現在、住宅ローンの利用者の約7割が変動金利を選択しています。変動金利は、金融機関が企業向けに貸し出す際の基準金利「短期プライムレート」を参考に決められていますが、政策金利(短期金利)は、短期プライムレートに影響を及ぼします。ですから、マイナス金利が解除されたことにより変動金利が上がるのではないかと心配されています。

現在は、2022年12月に日銀が長期金利の上限を引上げたことを受け、長期金利の水準などを参考に金利を決める固定金利型住宅ローンの金利は引上げられ、徐々に金利が上昇しています。これまでは、固定金利だけが上がっていましたが、今後は、変動金利も上がることが予想されます。ただし、マイナス金利が解除になったとはいえ、政策金利はゼロから0.1%になった程度ですので、変動金利が上がるとしても0.1〜0.2%程度の可能性が高いでしょう。

住宅ローンを、仮に5,000万円・35年・変動金利0.38%で借りている場合、金利が0.1%増加すると、毎月約2,200円負担額が上乗せとなります。年間では、約2万6000円増えますが、驚くほど増えるということではありません。

急激に金利が上昇することは考えにくいと思いますので、焦らずに、しばらくは、情報収集を怠らないようにしましょう。

債券価格が下がる
金利と債券価格はシーソーの関係にあります。金利が上がると、債券価格は下がり、金利が下がると、債券価格は上がります。

国内の債券や国内債券に投資している投資信託などを購入している場合には、価格が下がる可能性があるでしょう。

金利と株、為替の関係も抑えておこう

最近は、新NISA制度が始まったことにより、投資をしている人も増えてきています。金利の状況は、株式や為替などにも大きな影響を及ぼします。株式市場や為替の動向がどうなるのかはプロでも予測が難しいですが、金利と株、為替の関係を知っておくことにより、心構えができるでしょう。

金利が上がると株価は下がる傾向に
金利が上がると、企業はお金を借りにくくなります。お金が借りにくくなれば、設備投資や新しい商品を開発・研究することが難しくなります。その結果、個人の消費が減り、売上が減り、企業の業績は悪化することが予想されます。企業の業績が下がれば株価は下落傾向になります。

金利が上がると円高になる傾向に
為替はさまざまな要因で動きますが、金利差も大きな要因のひとつです。基本的には、金利が高い国の通貨が上昇、低い国が下落します。
現在、日本は円安傾向にありますが、それは、世界各国が軒並み政策金利を上げている中、日本は長い間、政策金利がマイナスの状態にあったことが大きいでしょう。
今後は、日本が金利を上げることにより、世界各国との金利差が縮まり、円高傾向になることが予想されます。

ただし、今回は、マイナス金利が解除されたといっても、非常に緩やかなものであったこと、当面も緩やかな傾向が続くこともあり、為替は相変わらず円安傾向となっています。

マイナス金利が解除になったからといって、過度に振り回される必要はありませんが、金利がない世界から金利がある世界へと経済の状況が変わっていくことは確かです。状況が変われば、これまでの常識も変わりますので、日頃より情報のアンテナを高く持ち、柔軟に対応できるようにしましょう。

  • 本ページは2024年5月時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。また、今後予告なしに変更されることがあります。

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