米消費者は前回のインフレ高進時、銀行に預けた資金が店頭の物価と同じように膨らむのを目にし、多くの痛みが軽減された。しかし今回は銀行が利益を膨らませている。
米銀の預金金利と貸出金利の格差がこの半世紀にこれほど開いたことはない。普通預金口座の利率平均は 0.06%と極めて低い。米利上げに伴い預金金利がどの程度のペースで上昇するかを測る「預金ベータ」は、今後数カ月にわたり銀行に有利な状態が続くだろうと、多くの銀行が株主に説明している。銀行が預金金利引き上げへの圧力をまださほど感じていないためだ。
預金ベータは金融業界で今、最も取り上げられている専門用語だ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のこの2カ月の アナリスト会合で言及された回数は過去2年を合わせた回数より多い。今月には同行幹部が、預金金利について引き続き「規律を持ち」、7-9月(第3四半期)の金利収入が前期を最大10億ドル(約1330億円)上回るとの予想を示した。
BofA、4-6月純金利収入が22%増-金利上昇や融資の伸びが寄与
ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は18日にアナリストに対し、「消費者向け金融部門は堅調な勢いを維持している」とした上で、「融資の伸びは四半期としてほぼ3年ぶりの好調なペースだ」と説明した。
預金金利がこれほど低い理由は多い。政策金利を長い間低く抑えていた米金融当局が、インフレが強まるまで利上げを待ったほか、利上げを受けて預金金利が上昇するまでに時間がかかる。結果的に消費者は痛手を受けている。6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%上昇したが、 JPモルガン・チェースやBofA、 ウェルズ・ファーゴのウェブサイトによると、預金金利は0.01%まで低く抑えられている。
米利上げに伴い預金金利が徐々に上昇することは広く予想されているが、預金者に恩恵が及ぶペースが鈍くなる証拠が豊富にある。多くの銀行は新型コロナウイルス禍や政府の刺激策で預金が急増するなど手元資金が潤沢で、預金金利を引き上げる競争上の圧力がほとんどないためだ。
預金以外に銀行とさほど取引がない大口顧客でさえ、預金金利上昇を求める手段はほとんどない見通しだ。
UBSグループの銀行アナリスト、エリカ・ナジャリアン氏は「銀行は資金調達面で大きな余地がある」とした上で、「金利に比較的敏感で預金だけしか取引関係がない顧客が離れることも」銀行は容認できるとし、銀行が「そうした資金を必ずしも必要としないためだ」と指摘した。
原題:
Banks Used to Provide Relief From Inflation. Now They Profit Big(抜粋)
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