ほとんどの人は、銀行に普通預金口座を開設していると思いますが、銀行預金には普通預金の他にも、当座預金や定期預金など様々な種類があります。そこで今回は、「普通預金」と「当座預金」の違いに加えて、他の主な預金についても解説します。
多くの人にとってなじみがある普通預金。普通預金は、主に個人が自由にお金を出し入れできる口座として利用することができます。一方、当座預金は、個人事業主や法人が業務上の支払いに利用する口座です。現金以外の小切手・手形で決済する場合に利用します。当座預金に入っているお金は、ATMなどで現金として引き出すことはできず、手形や小切手を受け取った企業がそれを現金化するための預金と言えます。
では、普通預金と当座預金の違いについて具体的に見ていきましょう。
●口座開設時の審査
◇普通預金:基本的に本人確認書類を提出すれば、誰でも気軽に口座を開設できる
◇当座預金:金融機関の審査を受け、通過した場合に口座を開設できる。金融機関の審査があることで企業の信用度がアップする。
●利息
◇普通預金:預金額に対して利息がつく
◇当座預金:利息はつかない
●機能
◇普通預金:給与受け取りや家賃の支払い、公共料金の引き落としなど、日常の財布代わりに利用できる
◇当座預金:小切手・手形での決済に利用する。公共料金の引き落とし、配当金の受け取りができる。
●預金保険制度(ペイオフ)の対象
預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に預金者を保護する制度。
◇普通預金:元本1000万円までとその利息が保護される
◇当座預金:全額保護される
●ATMでの引き出し
◇普通預金:預け入れは1円以上1円単位。ATMでも自由に入・出金ができる
◇当座預金:預け入れは1円以上1円単位。原則、銀行の窓口で手続きをする。金融機関によってはキャッシュカードが発行され、ATMが利用できる。
●現金の引き出し限度額
◇普通預金:1日の出金限度額が決められている
◇当座預金:1日の出金限度額、制限はない
●当座借し越しの利用
当座借し越しとは、預金残高が不足する事態に陥った場合、契約した金額に応じて金融機関が立て替えをしてくれる制度のこと。
◇普通預金:基本的には利用できない。定期預金を担保として利用できる場合もある。
◇当座預金:当座貸し越し契約を結ぶことで、残高不足(不渡り)の際に自動貸し付けを受けられる
以上、普通預金と当座預金の違いを見てきました。当座預金は一般の人にはあまり関係がないかもしれませんが、会社員が副業を始めて個人事業主になった場合などには、覚えておくと便利です。
普通預金と当座預金の他にも、さまざまな預金口座があります。
●一般定期預金
一般定期預金は、定期預金のスタンダード商品。定期預金は、1か月、3か月、6か月など、お金を預ける期間をあらかじめ決めて預け入れる口座です。預入期間は1か月以上10年以内が一般的。基本的に満期までは預金の引き出しはできません。
一般的には普通預金より金利が高いことが特徴です。特にネット銀行の定期預金は、金利が高い傾向にあります。例えば、今すぐ使うお金ではないけれど、3年~5年以内に使い道が決まっているお金がある場合、使うまでに時間はありますが、使う時に元本が割れていると困るので、普通預金よりも金利が高く、安全性が高い一般定期預金を利用するとよいでしょう。
●大口定期預金
大口定期預金は、1000万円以上から預け入れ可能な定期預金で、一括で預け入れます。預入期間は1か月以上10年以内が一般的です。預け入れ時の利率が満期まで続く固定金利で、金融機関により金額に応じた金利が定められています。
預け入れる金額が大きいため、一般定期預金よりも金利が高く設定されている場合があります。退職金や相続財産など、低リスクで効率良く運用したい場合に利用するとよいでしょう。
●積立定期預金
積立定期預金は毎月決まった日に決まった金額を普通預金口座から自動的に振り替えて積み立てていくタイプの定期預金です。毎月の積立額や積立期間は金融機関によって異なりますが、最近は500円、1000円程度から積み立てられる金融機関もあります。
積立定期預金は、一度、積立額や積立日を設定すれば、自動的に積み立てることが可能です。自分でコツコツと貯蓄することが苦手な人や、住宅購入資金、自動車購入資金、旅行資金などを目標を決めて貯蓄したい人は利用するとよいでしょう。
●総合口座
総合口座は、「ためる」「ふやす」「支払う」「借りる」といった以下の機能がセットになっている口座です。
◇普通・定期預金としての貯蓄
◇公共料金や電話代などの支払いや他口座への送金
◇給料や年金、配当金・公共債の受け取り
◇定期預金などを担保とした融資
日常のお金の出し入れは「普通預金」で、毎月の貯蓄は「定期預金」で、公共料金の引き出しなどで普通預金にお金が不足していれば、定期預金を担保に自動で融資を受けることができます。
今回は、様々な預金の特徴についてお話ししてきました。普通預金しかなじみがなかったという人も、それぞれの預金の特徴がおわかりになったのではないでしょうか。
お金をためる目的や家計の状況などは人それぞれ違います。それぞれの預金の特徴を知って、自分に合った預金口座を活用していきましょう。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)
からの記事と詳細 ( 普通預金と当座預金の違いは?預金口座の種類を知り使い分けよう - 読売新聞オンライン )
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