日銀の金融政策の転換を機に、日本で久々に到来しそうな「金利のある世界」。これまで銀行の普通預金などにお金を置いたままにした人も多いかもしれないが、お金にまつわるさまざまな相談に応じるファイナンシャルプランナー(FP)の目にはどう映るのか。企業に属さずに活動する独立系FPの菱田雅生さん(54)に、今後のお金との向き合い方について尋ねた。【聞き手・浅川大樹】
証券マンを経て独立、菱田雅生(ひしだまさお)さん
▽「財産を守る意識で資産運用を」
平成の30年間は「失われた30年」と言われ、モノの値段が下がっていく、もしくは大きく上がらない状態が続きました。こうした状況だと、お金を普通預金に入れて保有しておくことも財産価値を維持する選択肢の一つだったと言えます。
しかし、今は物価が上昇しています。2023年の消費者物価上昇率(総合)は平均で前年に比べて3・2%でした。これは1年間で総資産を3・2%増やせて、ようやくトントンになるということを意味しています。お金をそのまま持っているだけでは、実質的な価値は目減りしてしまいます。見た目は現状維持でも、それは後退と同じです。
一般の人も「お金を増やす」という意識ではなく、「自分の財産を守る」という意識で資産運用に取り組む必要があります。「資産運用するほどお金を持っていない」と考える人がいますが、金額の多い少ないは関係ありません。
私が証券会社にいた1990年代は、投資信託なら最低でも1万円以上、個別株だと50万円以上の資金が必要なのが一般的でした。今は100円、1000円単位で買える投信がたくさんそろっていて、誰もが資産運用ができる時代です。
投資するのであれば、NISA(少額投資非課税制度、ニーサ)やiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)といった税制優遇が大きい制度を利用するのが得策です。せっかく国が非課税の枠組みを用意しているので、有効に使わないともったいないです。
会社員や公務員の場合、現役世代だと支出より収入が多いケースもありますが、退職後は出ていくお金の方が多くなる可能性が高まります。現役世代でも子どもの教育費や住宅購入費で一時的に支出が多くなることがあります。将来に備え、貯蓄と共に投資についてもバランス良く取り入れるよう検討することが肝要です。
ひしだ まさお
東京都出身。早大卒。入社した山一証券の廃業後、FPの実務を学び、2005年から独立。テレビやラジオなどにも多数出演。
からの記事と詳細 ( 普通預金は目減り? FPに聞く「金利ある世界」の資産運用法 - 毎日新聞 )
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