もうすぐボーナスシーズンですね。銀行の普通預金にお金を預けていてもほとんど増えない今、少しでも金利が高いお得な商品を探している方も少なくないのではないでしょうか。そんな方にとって魅力的に見えるのが、投資信託と定期預金がセットになった「投資信託セット定期」です。今回は、高金利で目を引く一方、思わぬ“落とし穴”もある「投資信託セット定期」についてお話しします。
銀行のホームページなどを見ると、目に留まるのが「高金利預金」をうたう商品です。高い金利の定期預金は一般的に、円定期預金に投資信託や外貨預金がセットになったセット商品となっています。
セット商品は、円定期預金に加えて、投資信託や外貨預金などを同時に申し込むのですが、預入金額の配分は、円定期預金は総額の50%以下、投資信託は総額の50%以上となっているケースがほとんどです。
例えば、投資信託と定期預金がセットになった「投資信託セット定期」では、定期預金の金利はなんと1~3%、商品によっては5%の高金利になります。大手都市銀行の定期預金の金利が0.002%ですから、それに比べるとかなりの高金利ですよね。
「これはお得!」と思う方も多いと思いますが、注意したいのが、定期預金の高金利が適用されるのは最初の3か月のみというケースがほとんどだということ。その後の金利は通常の金利が適用され、ほとんど金利がつかない超低金利になります。
とはいえ、3か月だけでもこんなに高金利であれば、元本保証ではない投資信託を組み合わせても大丈夫だと思うかもしれませんが、果たして本当にお得なのでしょうか?
仮に投資信託セット定期に200万円預けるとします。配分は、定期預金に100万円、投資信託に100万円。なお、定期預金の金利は最初の3か月のみ3%(年率)、投資信託の販売手数料2%、信託報酬1%とします。
定期預金に3か月預けた場合の利子は、100万円×年3%×(3か月÷12か月)=7500円。定期預金の利息には、20.315%の税金がかかりますので、実際に受け取ることができる利息は6000円程度です。
一方、投資信託の手数料は、購入時に100万円×2%=2万円がかかります。さらに信託報酬1%は、投資信託を保有している間、継続的にかかります。最初の1年間で考えれば、単純計算で100万円×3%=3万円も手数料がかかるということです。
つまり、100万円を定期預金に預けて6000円も利息がもらえると喜んだのもつかの間、購入時点での手数料を考えると、トータルでマイナスという結果になっているというわけです。
このように、「投資信託セット定期」は、投資信託で良い運用成績を上げてこそ高金利のメリットを享受できる商品だといえるのです。
セット商品の場合、投資信託は、あらかじめ銀行から提示された投資信託の中から選択しますが、手数料が高い投資信託がラインアップされている傾向にあります。
投資信託の中には、つみたてNISAでラインアップされているような販売手数料がかからず、信託報酬も低い投資信託がたくさんあります。
投資信託を活用して安定的にお金を増やすことが目的なら、定期預金と投資信託は別々で活用し、投資信託は運用成績がよく手数料が低い商品を購入して運用した方が、効率よくお金を増やせる可能性が高いでしょう。
おいしい話には、何かしら落とし穴があります。定期預金の高金利に安易に飛びつかず、仕組みをきちんと理解したうえで、購入の可否を判断するようにしましょう。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)
からの記事と詳細 ( ボーナスシーズン到来!「投資信託セット定期」で注意すべきこと - 読売新聞オンライン )
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