口座に旧姓使っていい？ いいんです 女性活躍後押しへ、金融機関に新たな動き | 鹿児島のニュース - 南日本新聞

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口座の氏名変更などを届け出る金融機関の書式

　鹿児島県内の金融機関で、口座に旧姓の使用を認める動きが出始めている。国が女性活躍を後押ししようと、金融機関に柔軟な対応を求めているためだ。鹿児島信用金庫は内部規定を見直し、来年度前半にも個人口座でスタートする。他の行庫も「協議の必要性がある」との認識を示す。

　鹿信金によると、結婚などで姓が変わっても、性別問わず旧姓で普通預金口座の開設などができる予定。中俣義公理事長（７５）は「キャリア形成で、旧姓使用を望む人は増えていくだろう。ニーズに応えられるよう早急に体制を整え、利用者に周知を図りたい」と話す。

　鹿児島銀行は、要望があれば個別に対応する方針だ。事務統括部は「情報収集し、今後は規定化も含め世の中の流れに則したものに変えていきたい」。南日本銀行も同様の姿勢で「規定化はしていないが、課題意識はある。体制整備へ協議していきたい」とする。

　旧姓使用を巡っては、内閣府が２０１７年以降、全国銀行協会などに前向きな対応を求めてきた。１９年には運転免許証やマイナンバーカード、住民票への旧姓併記が可能となり、円滑な本人確認を後押しする。鹿信金では、旧姓併記の身分証明を示せば特別な手続きは求めないという。

　県内に本店がある５金融機関によると、口座の旧姓使用に関する顧客の相談や営業店からの問い合わせはこれまでほとんどなかったという。一方、内閣府の「１９年男女共同参画社会に関する世論調査」では、結婚で姓が変わって働くときに通称として旧姓を望む人のうち、「銀行口座で使用できると良い」と答えた割合は約半数に上った。

　金融庁は今年１月、「旧姓の口座開設に対応してほしい」との利用者の声を踏まえ、改めて業界団体に対応を依頼。「女性活躍の加速に向けニーズはある」とし、金融機関の対応状況などを調べる予定だ。

　旧姓使用に慎重な金融機関からは、マネーロンダリング（資金洗浄）など不正利用の防止や、金融機関が破たんに備えて同じ顧客の口座をまとめる「名寄せ」のため、本人確認の徹底が必要との声もある。

　鹿児島興業信用組合は「本人確認などで必要なシステム整備が課題」とする。鹿児島相互信用金庫の担当者は「共働きや個人事業主で旧姓のまま仕事する人は増えており、協議する必要がある」と話した。

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