新型ゲーム機の売れ行きを大きく左右するのが、そのハードウェアでしか遊べないファーストパーティ(ゲーム機を製造・販売するメーカー)による専用タイトルです。歴代プレイステーションならば「グランツーリスモ」シリーズ、Xboxであれば「HALO」シリーズなど、最新ゲーム機のみで動作するソフトがゲーム機本体を買うときの決め手になってきたといえます。
しかしXboxのファーストパーティタイトルを手がけるMicrosoft StudioのトップMatt Booty氏は、今後2年間にわたって同社が投入するゲームは、すべて次世代ゲーム機Xbox Series X専用とはならず、Xboxファミリー(前モデルのXbox One)でもプレイ可能にするとの趣旨を述べています。英国のゲーム業界誌MCV/Developは、昨年末にロンドンで開催されたXboxのお祭りイベントX019のミーティングで、Bootyt氏とのインタビューを実現したとのこと。その場で同氏が述べた15の社内開発チームがどのように機能しているか、Series Xの計画がどのように進んでいるかといった事柄を伝えています。
この中で最も注目すべきは、Xbox Series Xの発売日に向けてどういったゲームソフト開発が進んでいるかということです。が、Booty氏いわく「私たちが今後2年にわたって送り出すコンテンツは、PCゲームと同じように、デバイスファミリの上位機種でも下位機種でも遊べます」とのこと。つまりWindows PC用ゲームであれば最低動作環境であれ推奨動作環境であれそれなりに動くように、どちらでも対応するというわけです。
さらにBooty氏は「誰かが現在と[Series X]の間にXboxハードを買ったとしても、彼らは良い投資をしたと感じることや、我々が彼らに向けてコンテンツを作っていることを保証したいのです」と説明しています。Xbox Series X発売後も過去モデル向けにソフトが供給され続ける一方で、Series Xに乗り換えても購入したソフトは引き継げるということでしょう。
また、少なくともMSからはサードパーティのパブリッシャーに対して、初期には比較的少ないXbox Series X向けに専用タイトルを作るよう大きな圧力をかけることはほとんどないとも述べられています。すなわちMSは「新型ゲーム機の発売と同時に、専用タイトルをそろえる」という過去のルールを書き換えようとしていると受け取れます。
もちろんMSとしては、Xbox Series Xのポテンシャルを最大限に引き出したタイトルを開発するつもりとのこと。「私たちのアプローチは1~2のIPを選んですべての機能を活用し、それらをコンソールの発売時に用意することです。私たちにとって、それは『Halo Infinite』になります。これは大きなチャンスです」そう語るBooty氏が、同タイトルに8K解像度や可変リフレッシュレートといった最新ハードのみに許された特権的な機能を惜しげなく注がせる可能性はかなり高いと思われます。
過去モデルであれ最新モデルであれ基本的に同一のソフトが動くが、新型であれば恩恵を被れる機能が多くなり、スピードの面でもストレスがなくなる。旧モデルのユーザーは安心してソフトを購入でき、ソフトの潜在力を引き出すためにハードウェアを買い換えたくなる......というビジネスモデルは、ゲーミングPCやスマートフォンにも近くもあります。さらにいえば、PS4 ProやXbox One Xがそのモデルケースともなっていました。
そうして世代ごとの線引きが薄くなり、ソフトウェア資産の引き継ぎもしやすくなれば、ゲーム機のハードウェア更新もスマホ並みの短いサイクルになるのかもしれません。
2020-01-12 11:00:12Z
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