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Friday, November 8, 2019

アップルのオリジナルドラマ、iPhoneも主役級 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

アップルのオリジナルドラマ、iPhoneも主役級 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

「ザ・モーニングショー」の1シーン。リース・ウィザースプーン演じるテレビジャーナリストが寝そべる横にはiPhoneとMacBookが映っている Photo: **no credit**

 アップルが開始した動画配信サービスのオリジナル番組「ザ・モーニングショー」は、スターが多数出演する華やかなドラマだ。番組の狙いは同サービスの会員獲得だが、結果的に、アップル製品の長いコマーシャルとしての役割も果たしている。

 キャスターの性的スキャンダルをきっかけに混乱に陥る朝のニュース番組を舞台にしたこのドラマで、主役を演じるのはジェニファー・アニストン、リース・ウィザースプーン、スティーブ・カレルの3人だ。ただ、劇中に登場する「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」「Mac(マック)」も、その出演時間を考えると専用の楽屋トレーラーが用意されていいくらいだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が第1シーズンの全10話を視聴して集計したところ、アップル製品は1話当たり平均32回映り込んでおり、その約3分の1でアップルのロゴが見えていた。ライバル製品が映った場面はほとんどなかった。

 「ザ・モーニングショー」は先週に配信が開始された。映画批評サイト「ロッテン・トマト」によると、評論家の評価は割れているが、視聴者の間では好評だ。アップルは、販売が減速しているiPhoneへの依存軽減に向け、月額4.99ドル(約550円)のストリーミングサービス「アップルTV+(プラス)」を開始した。その目玉となるのがこのシリーズだ。新型のiPhoneやiPad、Macを購入した人は1年間無料でサービスを利用できる。

 ハリウッドのエージェントや脚本家、俳優らは、アップルがオリジナル番組制作でどんな出方をするか慎重に見守ってきた。彼らの疑問の1つは、番組がアップル製品を売り込む手段になるのかという点だ。

 「ザ・モーニングショー」では、始まってすぐにアップル製品が登場する。第1話は、マーク・デュプラス演じるエグゼクティブプロデューサーが暗闇の中、自分のオフィスの床に大の字に寝そべるシーンで始まり、その横にあるiPhoneが着信して画面が点灯する。近くにはMacも置いてある。その約20秒後には、スティーブ・カレル演じるキャスターがiPhoneに起こされる。第1話ではアップル製品が全部で31回映っており、そのうち8回はロゴが見えていた。

「ザ・モーニングショー」にはアップル製品が映った場面が320近くあり、最も多く登場していたのはiPhoneだった Photo: **no credit**

 TV+で最初に配信された9番組のうち、その他の番組は、劇中に特定の商品を映り込ませる「プロダクトプレイスメント」にはつながっていない。アップルが誕生する前の時代設定だったり、電子機器を映り込ませにくい子供向けやノンフィクションの番組だったりするためだ。

 調査会社PQメディアのパトリック・クイン社長は「若者を中心に従来のテレビ番組を見る人は減っている。この変化する世の中で、視聴者に訴求するにはどうすればいいか」と問い掛ける。「その1つが、独自のストリーミングサービスを立ち上げ、自社製品を見せる方法だ。誰もができるわけではないが、アップルならできる」

 視聴者数が明確でない新番組について、アップル製品の1話内での表示にどのくらいの価値があるかを推定するのは難しいとクイン氏は話す。しかし、従来のテレビ局でゴールデンタイムに放送される番組であれば、数千万ドルに相当するという。

WSJ主催のイベント「テックライブ」では、ゲストが動画配信サービスの競争激化について語った(英語音声のみ)

 アップルは、プロダクトプレイスメントに料金は支払っていないとしている。「ザ・モーニングショー」に近い関係者によると、プロデューサーはアップル製品を劇中に登場させるよう圧力は受けていない。

 頻繁に映り込んでいるのはiPhoneやMacBook(マックブック)、iMac(アイマック)、iPadで、「Apple Watch(アップルウオッチ)」も時々目にする。アップルにとっては期待外れとされる音声操作スピーカー「HomePod(ホームポッド)」さえも、プロデューサーのデスクに置いてある小物の1つとしてカメオ出演している。

 WSJの集計によると、登場人物2人が話をしながら報道局を歩く第2話の4秒のシーンでは、9個のアップル製品が映っていた。

アップル製品を探せ。このオフィスには複数のアップル製品が置かれているが、いくつあるか分かるだろうか(答えは記事の最後に) Photo: **no credit**

 もちろん、多くのアップル製品は非常に人気が高い。米国のスマートフォン市場ではiPhoneのシェアは35%に上る。テレビ番組や映画にアップル製品が登場するのは今に始まったことでもない。ABCテレビのコメディードラマ「モダン・ファミリー」の2010年に放送されたエピソードは、主役の一家が当時発売されたばかりのiPadを手に入れようとする話だった。アップルはプレイスメント料は払っていないが、iPadを無償提供した。

 「ザ・モーニングショー」に登場するのがアップル製品だけという訳でもない。計10時間以上に及ぶ第1シーズで、少なくともiPhone以外の端末が1台映っている。ウィザースプーン演じるキャラクターの父親が娘と電話で話すシーンでは、折り畳み式の携帯電話が使われている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の発行元であるダウ・ジョーンズは、アップルのサービスを通してニュースを供給する商業契約を結んでいる。

(アップル製品を探せの答え:3つ。MacBook、HomePod、iMac)

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2019-11-08 07:44:00Z
https://jp.wsj.com/articles/SB11700520728564973312004586005012809185994

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